12月の半ばといえば忘年会真っ盛りのシーズンである。忘年会とはその年の苦労を忘れるために行うものらしいが、忘年会ごときで、その年の苦労を忘れられたら、それこそ苦労はない。

 「思い出す」ことと「忘れる」ことでは、圧倒的に「忘れる」ことの方が難しい。なぜなら、「思い出す」ことは意識の中で行うことができるが、「忘れる」ということについては無意識下でしか行うことはできない。忘れよう、忘れよう、とする度に繰り返し同じ刺激が脳を刺激し、皮肉にもより強い記憶になってしまうものなのだ。

 同様に、「考える」よりも「考えない」の方が難しい。小池龍之介さんの『考えない練習』という本の中では、考えないためには五感を研ぎ澄ませて感じることだ、という旨のことが書いてあった。これを聞いて、ブルース・リーが『燃えよドラゴン』の中で放った”Don’t think. Feel!”というセリフが蘇る。

 すべての雑念や煩悩を忘れて、考えずに感じるということは難しいことだ。