先日、KBCシネマにて内藤瑛亮監督の『お兄ちゃんに近づくな、ブスども!』と『先生を流産させる会』を見てきました。映画にそれほど興味がなく、映画館に行くことなど、ほとんどない自分でしたが、友人が持っていたMOOSIC 2012のフライヤを見て、最終日にとてつもなく衝撃的なタイトルを見つけたのがきっかけでした。

 ストーリーの詳細についてなどは、他のWebページを見ていただくことにして、感想などを。

 一緒に行った他の二人は内容が内容なだけにテンションが下がっていましたが、自分は不思議と心が軽くなっていました。多幸感という言葉が当てはまるのかもしれない。最近は少し悩み事やタスクが多く、「やらなきゃいけない」とか「喜ばせなきゃいけない」とか、何かそういう誰に強制されているわけでもない義務感があったのですが、そういう心の奥に溜まった黒い澱がすっと消えてなくなっているような、そんな感覚を持ったのです。

 理不尽な憎悪、隠しきれない嫉妬などの穢い感情。そして、それを抑える理性。いくら頑張って頑張って我慢して我慢して理性を振りかざして堪えてみても、こんな感情を抱くこと自体、自分という個体の「欠陥」なんじゃないかと感じていました。しかし嫉妬や恐怖、憎悪、嫌悪など、人間の様々な穢い部分、黒い部分が表現されたこの作品は、逆に自分の穢い部分や黒い部分を「多少はあれど誰でも持ってる」と擁護してくれているような、そんな気がしました。あるいは、ただ単純に憎悪や嫌悪の対象に危害を加えるという、そのどこかに潜んだ感情を登場人物に投射して多幸感を得ているどうしようもない人間なのかもしれません。

 映画に関しては全くの素人なので、映画の良し悪しはわかりませんが、自分の気が楽になったのは事実で、この映画を見に行ってよかったと思っています。