「音楽やってるらしいけど、楽器は何ができるの?」と聞かれて、「あ、自分、作曲から入ったんで、これが上手とかっていうのはないんですよ」って言うと、いつも決まって「作曲から入るって、どういうこと?」と聞かれる。

 元々、親父が半導体関係の会社だったこともあって、パソコンは割と早いうちから家にあった。小2のときにパソコンのソフトを物色しているときに(マインスイーパとかゲームを探してた)ときに音符のアイコンが見えて興味を持ったソフトがあった。今、多くのDAWで採用されているようなピアノロールではなく、楽譜をマウスでポチポチ描いていく感じのシーケンサ。後年聞くと、親父がバンドの練習をするために他パートを演奏させるために入れていたソフトだったらしい。

 そのソフトに出会って、変なボタンをクリックしまくってたら、5本ならんだ線の上にオタマジャクシを並べて行くと、なんか知らんが音が鳴る。再生ボタンを押すと凄く前衛的なカオスな音楽ができている。それが楽しくて、一杯、音符を並べているうちに、いろいろ気付いた。重ねたら綺麗に響く音と、そうじゃない音があるとか、綺麗に繋がる進行とびっくりしてしまうような変な進行があるとか。そうやって、基本的なことを経験的に学んだ。

 それから、音楽にはまりはじめた。

 今まで、自分がやってきたことを振り返ると、「記号」がキーワードになっていることに気付く。音楽、数学、プログラム、抽象画、タイポグラフィ。実際、親父の本棚から、一番タイトルの文字の形が面白いという理由でヘーゲルの『精神現象学』という世界三大難解書と呼ばれる本の1つを読みたいと言って取り出した変態が私です。

 だから、音楽好きなんだねーとかプログラム好きなんだねーって言われると、妙な不安感というか不快感というか不思議な感じがする。自分が好きなのは記号を並べることで、何かが表現できるというところで、そもそもが好きというわけではない。もし音楽に「記譜」という概念がなかったら、もしプログラムにコーディングという概念がなかったら、たぶんやらなかったと思う。実際、記号というよりはアルゴリズムを視覚化しているMax/MSPとかQuartz Composerとかで作るのは正直あんまり楽しくない。

 ということを、最近「プログラム好きだよね」と言われて、全力で否定するのがルーチンワーク化してきたので書いてみました。