人の印象に残るような作品というものがある。
福岡にやって来る直前、駅でムンクの企画展があるというポスターがあった。そのポスターにでかでかと描かれていたのがムンクの『不安』という作品なのだが、死人のような目をした数多の人物がこちらに向かってくる絵。不気味で仕方なかったが、その絵のインパクトは強烈で、神戸の美術館まで私の足を運ばせた。

By: Solis Invicti
自分も芸術活動をしているとはいえ、絵の専門的なことは何も分からないし、まして、ムンク自身がどういう人物だったかなど全く知らない。知っているのは『叫び』が有名ということくらいだ。
ただ一つ言えるのはムンクの『不安』は私を惹きつけるには十分過ぎるインパクトとメッセージ性があった。ムンクが伝えたかったメッセージかどうかは分からないが、メッセージを受け取った。いや、むしろ、何かのメッセージが自分の中で湧き上がった。
芸術家のあり方として、「誰かに自分のメッセージを伝えたい」というスタンスは間違っていて、「誰かに何かを感じて欲しい」とか「誰かの心の中で、その人しか感じないメッセージが湧き上がらせて欲しい」というあり方がいいのかもしれない。
芸術は人に「これをどう思いますか?」という問いかけだけすべきで、「これをこう考えてください」という押し付けであってはいけないと思う。
こういうことにムンクの『不安』が気付かせてくれたからこそ、今の自分の創作活動のテーマを「数学×アート」に加えて
「問題提起」
というテーマを掲げている。
ムンクの『不安』は自分のやっている芸術に「これでいいのか?」という『不安』を与えてくれたのだろう。
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