うちの会社でリーダーになってから、早2年ちょっとが経ちました。
自分の中でリーダー論みたいなものができてきたので、途中経過の備忘録的に書いて、数年後見返したときにどういう変化があるかを楽しんでみたい。

リーダーとしての仕事

文化の醸成

組織において、文化を如何に作っていくかが一番大事です。
文化を共有しない人が集まっても、それはチームとは言えません。高々同僚です。

ここでいう文化から得られるものは共通の価値観や行動規範など、いろいろなものがありますが、一番は帰属意識です。
一度チームから離れたとしても、戻ってくるときに、それぞれが言う言葉が、
「よろしく」「ようこそ」みたいな言葉じゃなく、「おかえり」「ただいま」であることが理想的です。

チームへの帰属意識があると、チームのために頑張れます。
目標ができたときに同じ方向を向きやすくなります。

文化を作るのは、どんな小さなことでもいいです。
チーム名を変えないということや、チームミーティング内でのちょっとしたやり方でも、文化を醸成する一助になることでしょう。

ルーティング

メンバーの一人一人が効率よく働くためには、「誰が何を持っているか」を把握することが必須です。

  • 誰が何をやりたいと思っているか
  • 誰が何に詳しいか
  • 誰がこのタスクに時間を割けるか

などなど。

任せた仕事の状況に興味を持つのではなく、メンバー一人一人に興味を持つことが大事です。
必然的に、今やりたいことや、今困っていることが集まってくるでしょう。

あとは困った人とその解決策を持っていそうな人をルーティングしてあげるだけ。
下手に相談に乗るよりも相談に乗ってくれる人と繋いであげるほうが、断然意味があります。

リソースのバッファ

急に発生する仕事は度々発生します。
そのときにチームリソースのバッファがあるかないかで忙しさが変わってきます。

それを想定して、80%くらいのイメージで稼働するように意識したとしても、怠け者でない限り100%の力を出してしまうのが人間というものです。

メンバーは100%の力を出してもらって、リーダーは最悪0%の稼働でも回るように管理した方が調整しやすいです。
リーダーの仕事は、メンバーのちょっとしたタスクの肩代わりや情報収拾など後回しにできる仕事をメインにすると、普段も暇にはなりません。
こうすると、いざ、困った事態が発生したとしても、リーダーが腕まくりをして出ていくだけでことがおさまります。

「メンバーに残業が多い = リーダーがリソースの調整ができていない」ということなので、恥ずべきことだと考えています。

「何故やるのか」を考える

仕事において考えなければいけないものとして「どうやってやるか?」と「何故やるのか?」の二つがあると思います。

ここで大事なのが、

  • リーダーは主に「何故やるのか?」を考える
  • メンバーは主に「どうやってやるのか?」を考える

ということです。
「主に」と言っているのは両方とも考えられるに越したことはないからです。

「どうやってやるのか?」はいろいろ検討に時間を割かなければならなかったり、趣味嗜好も出てくるところなので、メンバー各々に任せてしまったほうがよいです。
一方で「何故やるのか?」に関しては、一人が扇動したほうがチームの方向性が見えやすいため、リーダーが中心に考えて、それをメンバーに相談するという方針のほうが適しています。

リーダーとしてのスタンス

上ではなく中心

リーダーは上ではなく中心に立つ人間のことだと思います。

上に立っていると、メンバーは半ばリーダーの手足、最悪の場合クローンになってしまいます。それじゃあつまらない。

違う思考パターンを持つ人間が集まるからこそ、一人じゃできないチームとしての仕事ができます。

ものすごく単純な計算なんですが、世の中に10人に一人似た思考パターンの人がいるとして、5人いたら、10万チームのうちの1つだけのチームになります。一人でやるより、チームでやるほうが個性は出るし、今までにないことが生まれやすいのです。

リーダーのコピーを作らないためにも支配関係になってはいけません。

あくまで役割の違いであって、上下関係ではありません。

教育よりも共栄

上下関係ではないよ、って話とも繋がるのですが、リーダーがメンバー一人一人に教育を施す必要はないと思っています。

自分が成長しようとしているところに誘ってみて一緒に成長する、あるいは、メンバーが成長しようとしているところに乗っかって自分も成長する、
いわば共存共栄の関係がよいと思います。

ここでいう教育は、リーダーが恣意的に育て上げることをさしています。恣意的に育て上げると、画一化されて面白くない。
自分の思い通りに動くようにする「調教」なんてものは論外です。

もちろんアドバイスはするし、相談も受けるけど、進みたい道は自分で考えてもらう。進みたい道が見つけられない場合は、質問責めしてヒントを掴むきっかけとなる。そのくらいで十分なのかなと思っています。

一人でできることは大したことないこと

優秀だからリーダーになったとは決して考えていません。
むしろ、リーダー的な立居振舞くらいしか取り柄がなかったからリーダーになったのだ、くらい卑下して考えています。

自分ひとりでできることは、自分にとって未知の世界ではないので、面白くありません。
意見が違うメンバーと話してこそ、自分にとって新鮮なことができます。

私にとって、一人でなんでもできると思い込んだ人間だと滑稽に思われるよりは、何もできない人間だと憐れまれるほうがマシです。

まとめ

結局のところ、自分が求めているのは自分の考えと誰かの意見がぶつかって生まれる新鮮な世界を見たいというところなのかもしれません。

そのために、メンバーには伸び伸びと仕事できる環境を用意しようと躍起になっているのでしょう。

今のところ自分の観測範囲ではチーム内で不平不満が出ていることはないようなので、ある程度うまく行っているのだと思います。
自分がこの記事に書いた行動が取れるのは、メンバー一人一人の理解あってこそです。
本当にいつもいつも支えてくれているメンバーには感謝しかありません。

さて、来年、再来年とリーダーであり続けられるかはわかりませんが、数年後これを見返したときに自分の考えがどう変わっているのかが楽しみです。